退職後の夫の姿を「私の夫はまるで濡れ落ち葉」と表現する奥さんがいます。「濡れ落ち葉」とは現職の頃は家庭をかえりみず仕事人間だった夫が定年退職後趣味や友人を持たず

一日中家でゴロゴロしている姿がとても鬱陶しく思える姿を皮肉っている言葉です。長年連れ添っていた夫婦でも離婚を考えたことは一度や二度はあるものです。

食事や掃除にその都度文句を言われても多少の事は我慢してきました。家庭のために外で頑張っている夫の姿に多少なりとも感謝をしているつもりでした。出張や忙しい時は日曜日でも会社に行っていたので顔を合わせる時間は結構少なかったような気がします。

子供が小さい時は夫がいないと大変な時期がありましたが、しかし今思えば合わない時間があったため夫婦生活のバランスが良かったのかも知れません。子供が大きくなるにつれて夫のいない時間は自分の自由な時間も増えて好きな趣味や仲のいい友達と

お芝居やショッピングなどを楽しむようになっていました。贅沢はできなくてもそこそこ幸せな人生だったような気がします。もちろん、それも主人の収入があってこその生活だったのですが・・・

主人もいよいよ退職の日を迎えることになりました。

「長年お勤めご苦労様でした・・・・」そう思ったのも1週間足らず・・・

退職した日から家でゴロゴロする夫を見て「何か趣味でも持ったら・・・」「友達とかいないの?」あんなに仕事人間だった夫が今は別人のようです。

一日中家にいる夫のために朝食から始まって昼食や夜ごはん・・・最近知ったのですが夫は外食嫌いだったのです。なので、二人で外に食べに行くこともなく、毎食家での手作りです。当然、友達との付き合いもだんだん疎遠になっていきます。

しかも最近、夫の母の認知が始まってしまいこの家に引き取ることになってしまいました。夫だけでもウンザリしているのにこの上姑まで面倒をみなくてはいけないとなると最悪です。

「濡れ落ち葉」は乾いてどこかに飛んで行って欲しものです・・・・そんな風に思っている60歳過ぎの奥さんが増えています。特に団塊世代と呼ばれる世代が定年退職を迎える時期に入り、その傾向はますます顕著になりつつあります。

熟年離婚と呼ばれる60歳以上で30年以上連れ添った夫婦間での離婚が珍しくなくなりつつあります。ジャニーズのアイドルグループ『スマップ』の解散ではありませんが、長く連れ添うことは男女間だけではなく難しいのです。

こんな悲劇を招かないためには、夫婦であってもお互いに干渉しない空間や時間の過ごし方が必要になります。リビングにいないで自分の部屋を持つことや、外出することなど工夫が必要です。また、旦那さんが定年なら、奥さんにも定年をさせてあげることです。家事の分担なども良いでしょう。台所を2人で使うことは難しくても、掃除や洗濯は夫がする。奥さんの家事負担を減らすため外食を増やす。

また、時間や空間を分けることとは相反しますが、夫婦二人での会話を増やすことも大切です。家族と呼ばれる中で唯一、他人である夫婦の関係を維持することは大変な努力が必要です。

定年も60歳ではなく65歳制が採用されつつありますが、それでも平均寿命を考えれば、15年から20年程あります。60歳を過ぎてからが、いよいよ夫婦二人のヤマ場と云えるかもしれません。どちらかが我慢し続けるのではなく、どちらも歩み寄り円満な老後を迎えたいものです。